
恋愛において、一番難しいこと。
それは、「その関係を良好なまま、長く続けること」ですよね。

(急にどうした?)

熱烈なアプローチで付き合えたとしても、釣った魚に餌をやらない、とよく揶揄されるように、その後の連絡がおろそかになったり、相手への気遣いがなくなったらどうでしょう。

………

関係はすぐに冷え込んでしまい、最悪、相手に愛想をつかされて関係は終わりを告げてしまうでしょう。
ビジネスもこれと全く同じです。

(AIっぽい喋り方やめてほしい)
「新規顧客の獲得」も重要ですが、獲得した後の「関係維持」はもっと大切なのです。
この「関係維持」への努力を指す言葉が、「カスタマーリテンション」です。
カスタマーリテンションとは?
カスタマーリテンション(Customer Retention)とは、直訳すれば「顧客の維持・保持」です。
その本質は「既存顧客と長期的な信頼関係を築き、使い続けてもらうための活動すべて」を指します。
20世紀後半、「売って終わり」の時代から「売ってからが始まり」の時代へとシフトしたことで重要視されるようになりました。
特に、サブスクリプション全盛の現代においては、リテンションこそがビジネスの生命線です。
リテンションが重要視される最大の理由は、コストパフォーマンスです。 マーケティングには有名な法則があります。
【1:5の法則】 新規顧客に商品を売るコストは、既存顧客に売るコストの5倍かかる。
出典:Technical Assistance Research Programs (TARP). (1979). Consumer Complaint Handling in America: Final Report. Washington, D.C.: U.S. Office of Consumer Affairs.
【5:25の法則】 顧客離れ(チャーン)を5%改善すれば、利益は25%〜85%改善する。
出典:Reichheld, F. F., & Sasser, W. E. (1990). Zero defections: Quality comes to services. Harvard Business Review
リテンションするためのお客を獲得することはもちろん重要ですが、リソースが限られている場合、新規顧客と既存顧客のどちらに重点的にそれを投入するかを慎重に判断する必要があります。
顧客満足度と顧客ロイヤルティ
よくある誤解が、「顧客満足度(CS)が高ければ、リテンションするはずだ」という思い込みです。
もちろん、リテンションのために、顧客満足度を上げることは重要ですが、必ずしもその2つは直結しません。
例えば、「今日の食事はおいしかった!」と顧客がどれだけ満足してくれたとしても、「次回もまたきたい!」と思ってくれなければ、常連客になってくれません。
食事がおいしくて満足したなら、また来てくれるのでは?
と思われるかもしれませんが、世の中にはおいしい食事を提供するお店はあふれていますし、その情報にも簡単にアクセスできます。
また、外食以外にも楽しいことはあふれています。
そのお店のことをしっかりと覚えてくれ、また行こう、とアクションを起こさせるためには、かつてよりも様々な工夫や仕掛けが必要な時代になっているのです。
商品やサービスが良いのは大前提として、 それに加えて、「自分のことを覚えてくれている」「使い続けるほど便利になる」「コミュニティが楽しい」など、離れがたい理由(スイッチングコスト)をどれだけ作れるか。
現代ビジネスにおいては、これが勝負の分かれ目になってきています。
似た言葉に「顧客ロイヤルティ」がありますが、これはリテンションと相補う関係といえるでしょう。
「この会社が好き!」という感情(忠誠心)が高ければ、継続的にその企業の商品・サービスを利用してくれるでしょうが、このロイヤルティを高めるためにも、継続的に利用してもらう施策や仕組みづくりが重要になります。
リテンションの具体策
では、具体的に何をすればいいのでしょう。
リテンションは、単なる「引き止め工作」ではありません。
顧客の利便性を高め、カスタマーサクセスを支援し「続ける」ことです。
例えば、オンボーディング(定着支援)。
使い始めのつまずきをなくすよう、わかりやすいUI/UXを構築するのはもちろん、その後も継続的に使ってもらえるよう、定期的なアップデートを行い続けることです。また、自社商品の便利な活用法や有益な情報を提供して、「使いたい」と思ってもらえるような継続的な取り組みです。
また、フィードバックループと呼ばれる、アンケートなどで不満を先回りして検知し、改善する取り組みも大切です。
自社商品・サービスに係るコミュニティを構築し、企業やユーザー同士のつながりを作り、「抜けたら寂しい」状態を作ることも効果的でしょう。
リテンションは顧客に愛を注ぐこと
リテンション施策で注意すべきは、「過剰な引き止め」とは違うということです。 解約ボタンを隠したり、違約金で縛ったりするのは、短期的にみれば、確かにチャーン率は下げられるかもしれません。
しかし、長期的に顧客と関係性を築くのは難しくなるでしょう。悪い評判が広まれば、新規顧客への弊害をもたらすこともあるでしょう。
目指すべきは、「顧客が自発的に使い続けたくなる状態」を作ることです。
新規の顧客を連れてくるのは、会社に与える売り上げや収益のインパクトも大きくわかりやすいでしょう。
しかし、企業の利益を底支えしているのは、地味ながらも毎日自社の商品を使い続けてくれている既存の顧客たちです。

リテンションとは、顧客に対して愛を注ぎ続ける活動とも言えるね。

……。

…誰もいない?
わざわざ言うことでもないかもしれませんが、ビジネスに限らず、人生のあらゆる場面において感謝の気持ちをもつことは大切です。
自社と縁ができた既存顧客への「ありがとう」の気持ちを伝えるための仕組みづくりを行う。
そうすれば、そのビジネスは驚くほど安定して成長していくと思います。



