STPとは?意味と定義を3分で解説【マーケティング用語辞典】

フレームワーク

街を見渡すと、似たような商品を売っているのに、共存しているお店がたくさんあります。 例えば、コーヒーチェーン。

「スターバックス」のすぐ近くに「ドトール」や「コメダ珈琲」があっても、どのお店も繁盛していますよね。

ひな
ひな

なぜ、お客の奪い合いで共倒れしないの?

編集長
編集長

それは、彼らが見事に戦う土俵をズラしているからだ。

STPは、どんな土俵で、どのように戦うかを判断するためのフレームワークだよ。

STPとは?

STPは、マーケティング戦略を立てる際の3つの手順の頭文字です。フィリップ・コトラーが提唱しました。

Segmentation(セグメンテーション)

市場を細分化する (ケーキを切り分けるように、市場を「似た者同士」のグループに分ける)

Targeting(ターゲティング)

ターゲットを絞る (切り分けた中から、「このグループに売る!」と決める)

Positioning(ポジショニング)

立ち位置を決める (ターゲットに刺さる商品やサービスの提供、企業としての立ち振る舞いを決める)

簡単に言うと、「広大な市場の中で、自分が一番になれる『特等席』を見つける」ためのフレームワークです。

なぜSTPが必要なのか?

それは、ビジネスにおける資源(ヒト・モノ・カネ)は有限だからです。

限られた資源をやりくりして、 全ての人に好かれようと中途半端な商品やサービスを作っても、特徴のない「平均的な商品」になり、誰の心にも刺さらず競合に勝つことも難しいでしょう。

STPの目的は、 戦場を限定することです。

「自社が勝てる場所」を見つけ出し、そこに戦力を集中させるのです。

そうすることで、大企業相手でも局地戦で勝利することが可能になるのです。

SPT分析の流れ

①【S→T】「捨てる」
最初のステップ「S(セグメンテーション)」は、「顧客セグメンテーションとは?」の記事で触れましたが、市場を年齢や価値観で切り分ける作業です

次に重要なのが「T(ターゲティング)」。

ここは、「誰に売るか」を決める作業であると同時に、「誰には売らないか」を決める作業でもあります。

例えば、10分1200円のカット専門店『QBハウス』。

彼らは「忙しいビジネスマン」をターゲットにしました。

その代わり、「シャンプーしてほしい人」「会話を楽しみたい人」という顧客はバッサリと切り捨てました。

この「捨てる勇気」があったからこそ、「早くて安い」という強力な価値を作れたのです。

②【P】脳内に「旗」を立てる
最後の「P(ポジショニング)」が、最も重要で難しいパートです。

市場を切り分け(セグメンテーション)、狙う相手(ターゲット)を決めた。

しかし、それだけでは商品は売れません。

なぜなら、そのターゲットを狙っているライバル企業は他にも山ほどいるからです。

ポジショニングとは、数ある競合の中で「自社独自の立ち位置」を定義し、ターゲットに適した戦略や振る舞いを決定するプロセスのことです。

このプロセスが実を結べば、「〇〇といえばこの会社!」と想起されるような、市場における第一人者の地位を築けるでしょう。

では、どのようにポジショニングを決定すればよいのでしょう。

まずやるべきは、「ポジショニング・ステートメント(定義書)」を作ることです。

これは、以下の4つの要素で構成されます。

  1. Who(ターゲットは誰か): 例)時間がなく、手軽に栄養を摂りたいビジネスマンに対して
  2. What(カテゴリー): 例)完全栄養食のパンとして
  3. Benefit(提供価値): 例)調理不要で、1食に必要な栄養素をすべて摂取できる価値を提供する
  4. Reason to Believe(信じられる根拠): 例)管理栄養士監修のデータと、特許製法に基づいているため

この定義が固まって初めて、「じゃあパッケージは機能的にしよう」「広告はビジネス誌に出そう」という具体的な行動が決まります。

また、ポジショニングを定義するためには、横軸と縦軸を使ったマトリックスで考えるのも有効です。

これを視覚化したポジショニングマップもよく使われます。

ちなみに、マーケティングには以下の頭文字をとった「4P(マーケティング・ミックス)」という言葉があります。

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(販促)

ポジショニングは、この4Pを決めるための「憲法」にもなります。

というよりも、ポジショニングが決まらなければ、これらを決めることができません。

例えば、あるカフェが「多忙なビジネスマンのための、最高効率のエネルギー補充スペース」というポジショニングを定義したとします。 すると、商品・サービスについてこう決めることができます。

  • 製品: 繊細なハンドドリップではなく、マシンで秒速で出せるコーヒーにする。
  • 価格: 毎日通える低価格にする。
  • 場所: 景色の良い公園ではなく、駅ナカに出店する。
  • 接客: 笑顔の会話ではなく、ICカードで一瞬で決済できるスピードを重視する。

もしこのポジショニングが曖昧だと、「効率重視」なのに「店員が世間話をしてレジが混む」といったチグハグなサービスが生まれ、顧客は離れていきかねません。

ターゲット顧客は、常に「競合」と比較しています。

ポジショニングを決定するプロセスにおいては、競合と比較されたときに「なぜ他社ではなく、あなたを選ぶ必要があるのか?」という問いへの明確な答え(KBF / Key Buying Factor):購買決定要因」を用意することも重要です。

  • 「あそこは安いから(価格優位)」
  • 「あそこは早いから(利便性優位)」
  • 「あそこは品質が圧倒的だから(製品優位)」

この「選ばれる理由」を絞り込み、それを実現するために社内のリソースを集中させるのです。

ポジショニングとは、単なるキャッチコピーを作る作業ではなく、「私たちは誰のために存在し、誰のためには存在しないのか」「お客のためにどのような商品・サービスを提供するのか、そして、どう振る舞うのか」という、企業のアイデンティティそのものを決定する作業です。

この定義に基づいて、商品、価格、接客、広告など、すべての企業活動が一貫したとき初めて、顧客の脳内に「〇〇といえばこの会社!」というブランドの力が生まれます。

STPはビジネスの設計図

STP分析は、 「どの市場を切り取り(S)、誰に狙いを定め(T)、どう思われたいか(P)」を決める、ビジネスの設計図そのものです。

もし売上に伸び悩んだら、一度立ち止まって考えてみてください。

「私は今、誰のために、そして、市場のどこに自分の旗を立てるべきなのか」と。

この記事を書いた人
Neuviate

早稲田大学中退後、輸出入事業やIT事業など、多岐にわたるビジネスの現場で失敗と成功を繰り返しながら実務経験を積む。その後、教育系事業の広告・マーケティングに従事し、実践的なノウハウを体系化。同事業で培った実績をもとに独立を果たす。独立後は、豊富な経験を活かし、物販事業、士業の集客コンサルティングを専門に手掛けている。
著書に『高校生のマーケティング大全: AI時代を生き抜く最強の脳内OSをインストールする』がある。」

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