必死に営業して、広告費をかけて、ようやく新しいお客様を獲得した。
なのに、なぜか売上が積み上がっていかない……。
ビジネスではよくある悩みです。
そんなビジネスを改善する施策の一つとして、お客さんが自分の商品やサービスから離れていく度合いを指標を分析する方法があります。
いわば「自分のバケツに大きな穴が開いていないか?」を精査することです。
この「穴」の大きさを表す指標、それが「チャーン率(Churn Rate)」。
一言で言えば、「どれくらいのお客様が、あなたを見限って去っていったか」を示す数字です。

イヤな表現…

残酷な数値だけど、ビジネスの改善には有効となりうることが多い重要な指標だよ。一度でもサービスや商品を購入したお客さんに対する分析なので、新規にお客さんを獲得するよりも、時間も費用も抑えられる可能性が高いからね。
チャーン率はどうやって計算する?
では、実施にチャーン率の計算をしてみましょう。
「率」と聞くとちょっと難しそうですね。でも、基本の計算は小学生レベルの割り算です。
チャーンレートの計算方法には複数ありますが、最も基本的な「カスタマー・チャーンレート(顧客数ベース)」は以下の式で出せます。
チャーン率(%) = (その期間に解約した人数 ÷ 期間の初めにいた全顧客数) × 100
具体的な数字で見てみましょう。あるサービスの会員数が、
1月1日の会員数: 1,000人
1月中(1月1日~1月31日)に解約した人: 30人
だっとしましょう。
この場合の計算はこうです。
つまり、今月のチャーン率は「3%」ということになります。
「なーんだ、たった3%か。97%は残ってくれているし、悪くはないよね」
「よし!やめる人が少なくなるようもっとサービスをよくしよう!」
といった漠然とした感想や目標を立てるだけのものではありません。
重要なのは、このチャーン率の計算式をひっくり返す(逆数にする)と見えてくる「顧客の平均寿命」です。
顧客の平均継続期間 = 1 ÷ チャーン率

…????!

大丈夫、落ち着いて。
この「1」は「100%」を意味する「1」だ。
100人の顧客がいて、毎月5人ずつやめていくとしたら、ザクッとどれくらい持つか?というイメージでいい。
100÷5=20か月と計算できるよね。
先ほどの「3%(0.03)」で計算してみましょう。
1 ÷ 0.03 = 約33か月
つまり、毎月3%ずつお客さんが辞めていくビジネスでは、平均してお客さんは2年9ヶ月(約33ヶ月)で全員入れ替わってしまう計算になります。
もしチャーン率が「5%」だったらどうでしょう?
1 ÷ 0.05 = 20ヶ月
つまり、せっかくたくさんの広告費や営業活動を通して獲得したお客さんが、たった1年8ヶ月で、顧客は去ってしまうということです。
この平均継続期間を算定することで、より重要な事実が見えてきます。
例えば、1人のお客さんが月間の会費1万円のジム経営で考えてみましょう。
このお客さんは、チャーン率5%のジムでは、一人のお客さんが退会するまでに生み出す売り上げの平均は20万円ですが、チャーン率を2%下げるだけで、それが33万円になるということです。たった一人のお客さんの売り上げで13万円も差が出る。この差は大きいですよね。
「1:5の法則」
マーケティングの世界には「1:5の法則」という有名な経験則があります。
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる、というもの。
つまり、既存のお客様を一人逃がしてしまうことは、新しいお客様を一人見つける苦労の5倍の損失に等しいのです。
チャーン率が高い状態で営業を続けるのは、大きな穴の開いたバケツに水を汲んでいるようなもの。
たった5%のチャーン率でも、それが1年間続けば約半数の顧客がいなくなってしまうということです。
裏を返すと、チャーン率をわずか数パーセント改善するだけで、利益率は劇的に跳ね上がるということ。
新規獲得はもちろん重要ですが、その前にまずは穴を塞ぐこと。それが、最強の成長戦略といえるでしょう。
「チャーン」=顧客との関係性の断絶
チャーン率は、全顧客のうち、一定期間にサービス利用をやめた人の割合を指します。
特に会員制サービスやサブスクリプション(定額制)ビジネスにおいて、この数字は生命線であり、非常に重要視されています。
その数字の裏にある「なぜ?」という顧客心理を深く分析することで、その収益構造の改善につなげているのです。
顧客が離れる理由は、大きく分けて2つにわけることができます。
サービスの不具合や競合への乗り換え(明確な不満)
「なんとなく使わなくなった」(関心の喪失)
実は、対策が難しいのは後者です。
「思ったほど便利じゃなかった」
「使いこなせなかった」
これらは、顧客が商品に期待していた未来(サクセス)と、現実との間にギャップがあったことを意味しますが、「なんとなく」という、お客自身が言葉にできない理由を分析することはなかなかか厄介です。
かつては、解約しようとする顧客をあの手この手で「引き止める」という方針をとる企業が多かったのですが、現代の主流は「カスタマーサクセス」という考え方です。
チャーン率を下げる最良の方法は、引き止めることではなく、「このサービスを使っているおかげで、自分の利益になっている(カスタマーサクセス)」ことを実感してもらうこと。
先回りして使い方のサポートをしたり、成果が出たことを一緒に喜んだりする。
そうした本質的な顧客の利益を企業が提供する、という考え方が重要になっているといえます。
沈黙する顧客の声を聞く
恐ろしいのは、不満を持った顧客の多くは、クレームを言うことなく、ただ静かに去っていくということ。
チャーン率が上がってきたということは、「無言の愛想尽かし」が蔓延している証拠です。
チャーン率は、あくまで自社のサービスや商品が、お客にとって利益となっているか、役に立っているかを判断する指標であり、数字を減らすことを目的にするだけではいけません。
「お客様の笑顔を増やす=成功体験を増やす」ことを目的にする。
そうすれば、結果としてチャーン率は自然と下がっていくでしょう。



