正規分布とは?意味と定義を3分で解説【マーケティング用語辞典】

データ分析

「正規分布」は、統計学の王様とも言える概念です。

19世紀、数学者のガウスは発見しました。

自然界のあらゆるデータ――人間の身長、植物の大きさ、試験の点数、工場の部品サイズ――を集めてグラフにすると、不思議なことに「左右対称の釣り鐘型(ベルカーブ)」になることを。

この形が意味するのはシンプルです。

  • 平均値(真ん中)にデータの大半が集中する。
  • 端っこ(極端な値)に行けば行くほど、数は激減する。

まるで、神様が、世界をバランスよく設計するためにこの「正規分布」という定規を使ったかのようです。

正規分布は未来予知のためのセンサー

ビジネスにおいて、この正規分布が重要なのは、データが正規分布に従うとわかれば、「確率」を使って未来を予測できるからです。

以前紹介した「シックスシグマ」も、この正規分布の性質を応用して、不良品の発生率を予測・管理しています。

品質管理において正規分布を活用することで、「異常」を検知しやすくなります。

「工場の機械の温度」がいつも正規分布しているのに、ある日突然、グラフの形が崩れたとしたら?

「何かがおかしい。故障の前兆かもしれない」と、トラブルが起きる前に手を打つことができます。

正規分布は、世界が「正常」に回っているかをチェックするためのセンサーの役割を果たします。

マーケティングにおける正規分布

ただし、正規分布が良くあてはまるのは、身長や体重など「自然界」。

「人間が作った社会」のデータにおいては、全く別の形が現れることもままあります。

例えば、「YouTuberの登録者数」や「個人の資産額」。

これらをグラフにすると、釣り鐘型にはなりません。

「ごく一部の勝者が総取りし、残りの大半は底辺にいる」という、L字型のグラフになります(これを「べき乗則」や「ロングテール」と呼びます。

正規分布の世界では、身長3メートルの巨人はいませんが、べき乗則の世界では、ビル・ゲイツや大谷翔平のような、平均の数万倍を稼ぐ「巨人」が存在します。

そして、マーケティングの世界では、この「外れ値」といえる存在を意識することが重要なのです。

顧客セグメンテーションの記事でも説明したように、「平均値な顧客」をターゲットにすることは様々なリスクを伴います。

正規分布の頭でビジネスを考えると、「平均的な顧客」をターゲットにしがちです。 しかし、Webサービスやアプリの世界では、「平均的なユーザー」など存在しません。

「熱狂的な一部のヘビーユーザー」と「一度しか来ないライトユーザー」の平均値をとったとしても、実態を表すデータは得られないでしょう。

これは、他の業界、例えば金融の世界でも同様です。

株価の変動を「正規分布」だと仮定してリスク計算をしていた金融機関が、リーマンショックのような「ありえない確率(ブラック・スワン)」の大暴落に直面し、破綻しました。

正規分布は便利な道具ですが、万能ではありません。

「想定外」を想定するためにこそ、分布の形を見極める目が必要なのです。

定規を使い分ける

つまり、品質管理や自然データを見るなら、「正規分布」は効果的なのツールとなりますが、マーケティングの世界においては、「べき乗則」の視点が必要になるということです。

重要なのは、目の前のデータに合わせて「定規」を持ち替えること。

「世の中はベルカーブだけではない」と知っているだけで、あなたの分析力は一段階レベルアップするでしょう。

この記事を書いた人
Neuviate

早稲田大学中退後、輸出入事業やIT事業など、多岐にわたるビジネスの現場で失敗と成功を繰り返しながら実務経験を積む。その後、教育系事業の広告・マーケティングに従事し、実践的なノウハウを体系化。同事業で培った実績をもとに独立を果たす。独立後は、豊富な経験を活かし、物販事業、士業の集客コンサルティングを専門に手掛けている。
著書に『高校生のマーケティング大全: AI時代を生き抜く最強の脳内OSをインストールする』がある。」

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