
コピーライティングの重要性はこの記事(BABフォーミュラ)でも伝えたとおりだね

商品に日の目を見せてあげる、救いの技術でもあるんだよね

さて、ちょっと難しい話になるけど…
コピーライティングの根幹には、『反応の階層(Hierarchy of Effects)』という考え方があるんだ

うっ…なんか難しそう

身構える必要はないよ。
要は、お客さんは商品を認知してから買うまでに、『心の階段』を順番に登っていくということだ。いきなりゴール(購入)には飛び移れない。
だから、ライターは、その階段を一段ずつスムーズに登らせてあげる必要がある。

エスコートしてあげるという感じだね

この『階段』の設計図として、1898年にセント・エルモ・ルイスという人が提唱したのが、これから教える『AIDA(アイダ)モデル』だ。
100年以上経った今でも通用する、マーケティングの始原的なフレームワークだよ

すごい。歴史あるフレームワークだね

このモデルは1920年代には完成し、その後時代とともに『AISAS』や『ULSSAS』などと、網目状のモデルへと進化している。
けれど、『人の心を段階的に動かす』ことの本質は、100年前も今も変わらないということだね。
まずはこの古典にして基本中の基本「AIDA」を使いこなすことは、すべてのライティングの基礎となるはずだ。

(今日の記事はちょっと長いよ)
AIDAモデルとは?
AIDAモデルは、消費者の心理を4つの段階(Attention, Interest, Desire, Action)に分解して、購入までの心の動きを分析していく考え方です。

それぞれの段階で、
・何を目的とすべきか
・目的達成のための思考法やテクニック例
・具体例
を見ていこう
1.【Attention】注意
現代人は情報の洪水の中で生きています。
基本姿勢は「読みたくない・興味ない」です。
まずはこの壁を壊し、振り向かせることが最初の目的です。
具体的には次のような思考法やテクニックが効果的です。
- ニュース性: 「新発見」「ついに上陸」など、新しさを強調する。
- 意外性(カウンター): 常識を否定する。「食べて痩せる」「勉強しないで話せる」など。
- 問いかけ: 脳は質問されると無視できない習性を使います。
例えば、
「なぜ、9割の日本人は中学英語すら話せないのか?」
などと意外性のある情報をもとに問いかけを行って続きが気になるようにする、などです。

Webの記事広告でよく見るヘッドラインだね。
ついクリックしちゃうんだよなあ…

逆に悪い例は
「当社の新しい英語学習メソッドについて」
などだ。
退屈であり触れた情報すぎて、誰も見てくれないだろう
2.【Interest】関心
注意を引いても、一瞬で「自分には関係ない」と思われたら離脱されます。
興味を持続させることが次の目的です。

ターゲットの悩みに寄り添い、理想のイメージを想起させるなどして、興味を持続させることがここでのタスクということだ。
具体的に、ここでは
- 共感(Empathy): ターゲットが抱えている悩みや痛みを代弁する。
- Youメッセージ: 「私は(We)」ではなく「あなたは(You)」を主語にする。
などの考え方やテクニックが有効とされます。
例えば、
「『よし、今から本気出す!』と机に向かったはずなのに、気づけば30分以上TikTokやインスタを眺めている……。『次の00分になったらやる』を繰り返して、結局また自己嫌悪。そんな経験、ありませんか?」
や
「先生や親は『将来のために勉強しろ』って言うけれど、正直やりたいことなんて何もないし、満員電車で死んだような顔をしてる大人にはなりたくない……。そんなモヤモヤした不安、抱えていませんか?」
などと「自分ごと」のように感じる話や問いかけで、興味を持続させるのです。

悪い例はこうだ。
「当社は創業50年で、優秀な講師が揃っており、テキストは最新版で……」

全く頭に入ってこないね
急に自慢話をされても…という感じ
3.【Desire】欲求

さて、興味が継続したとしても、商品にも興味を持ってもらい「欲しい」と思ってもらわなければ購入には至らない。
ここから読者の感情をさらに揺さぶっていく。
ここでの目的は、商品への感情的な渇望(渇き)を作り出し、「好き」から「どうしても欲しい」へ昇華させることです。
わかりやすいのは「ベネフィット」、つまり読み手にとって嬉しい未来を想起させることです。
例えば、「指一本で持てる軽さなので、面倒だった階段掃除もスイスイ終わります。余った時間で、ゆっくりコーヒーを楽しむ余裕が生まれますよ」などと快適な生活をイメージさせます。
また、その反対に、現状を放置していたら大変なことになりますよ、と不安を煽る方法をよく使われます。
「マスクで隠せるから……とニキビを放置していませんか? そのままにしておくと、一生消えない『クレーター肌』になってしまうかもしれません。鏡を見るたびに落ち込む毎日なんて、嫌ですよね?」
ただし、脅しすぎると読者が引いてしまうので、「でも、この商品があれば大丈夫」とすぐに救いの手(解決策)を差し伸べるのが鉄則です。
「でも、安心してください。今からケアすれば、至近距離で見られても堂々としていられる、ツルツルのたまご肌を取り戻せます」
また、五感への訴求も重要です。
視覚、聴覚、触覚などに訴えかけ、読者の脳内で「すでにその商品を使っている映像」を再生させて、臨場感を高めます。
「お風呂上がり、顔をうずめた瞬間に『ふぅっ』とため息が出るほどの柔らかさ。まるで雲に包まれているような感触が、一日の疲れを優しく吸い取ってくれます。」
などと触角と感情に訴えかけ、使っているシーンを疑似体験させるような表現です。
もちろん、写真や動画も効果的に使う必要があります。

商品のスペックや機能を自慢されても、客は「ふーん」で終わり。
その機能が自分の生活をどう変えるのかまで翻訳して、イメージさせる必要があるということだね。
ちなみに、商品の機能やスペックを顧客にとってのベネフィットへ翻訳するためのツールとして「So What?」という思考フレームワークがあります。
例えば、以下のように、スペックや機能に対して「だからどうした?)」と問いかけ、答えが出なくなるまで深掘りします。
「5000mAhの大容量バッテリー搭載です」 →(だからどうした?)
「充電が長持ちします」 →(だからどうした?)
「モバイルバッテリーを持ち歩く必要がなくなります。カバンが軽くなり、旅行先で地図を見ながら写真や動画を撮りまくっても、夜まで余裕で電池が持ちます」 →(それは便利かも…?)
4.【Action】行動

さて、いざ「欲しい!」と思ってくれたとしても、それが購入につながるとは限らない。
人は「あとでいいや」と先延ばしにする生き物だからね。

確かに。
『あとで買おう』と思って結局買わなかった、ということはよくあるよね
ここでの目的は、「欲しい」と思ってくれた顧客に対して、その背中を押し実際のアクション(購入や資料請求など)を完了させることです。
サイトや広告などで、「購入」「資料請求」など具体的な行動を促すボタンやバナー、テキストなどをCTA(Call To Aciton)と言いますが、重要なのは、この部分を具体的、かつメリットが伝わる形にすることです。
「クリックしてください」や「送信」といった事務的な言葉では、行動意欲が湧きません。ボタンの言葉(細部の文章のことをマイクロコピーといいます)ひとつで、クリック率は劇的に変わります。
「送信する」「登録する」 などとすると、「登録作業をしなきゃいけないのか、面倒だな」と思われてしまうリスクがあります。
「無料で資料を受け取る」「今すぐノウハウを手に入れる」など、ボタンを押すことによってメリットが得られることを明確に示しましょう。
また、限定性や緊急性などのプロスペクト理論を活用することも効果的です。
「この特典付き価格は本日23:59まで。定員も残り3名となりました。明日以降は通常価格に戻りますので、損をしたくない方は今すぐお席を確保してください」
のように、「今動かないと損をする」という状況を訴えかけます。
この他、リスクリバーサルで、読み手の不安を軽減することで、さらに背中を押すことができます。
最後のブレーキは「失敗したらどうしよう」という不安。
このリスクを売り手が肩代わりして購買を促進する戦略のことを「リスク・リバーサル」と呼びます。
よく使われるのは「返金保証」です。
「まずは30日間無料でお試しください。期間中に解約すれば、料金は1円もかかりません。あなたにリスクはありません」
といったように購入のハードルを大きく下げるのです。
ちなみに、「返金保証って返金の山にならないの?」と疑問に思った方はエンドウメント効果の記事を参考にしてください。
AIDAの派生モデル

AIDAは基本中の基本モデルだが、『認知→感情→行動』という一直線のモデルだ。しかし現実は、いきなり買わずに一度持ち帰ったり、疑って比較したり、買った後にSNSで拡散したり、必ずしもこの通りの購買行動になるわけではない。

確かに。僕は買う前にAmazonのレビューを見ないと怖くて買えないや

だからこそ、商材や時代の変化に合わせて、AIDAを改良した『派生モデル』がたくさん開発されてきた。
全部覚える必要はないけれど、『自分の商品はどのパターンに近いか』を知っておくと、戦略の解像度が一気に上がるはずだ
AIDMA・AIDCA・ACCA

まずはインターネットが普及する前、マスメディア全盛期や、高額商品を売るために生まれたモデルから見ていこう
もっとも有名なのが、AIDAに「記憶(Memory)」を加えた「AIDMA(アイドマ)」です。
テレビCMや雑誌広告を見て、その瞬間に商品を買いに走る人は稀ですよね。
だからこそ、週末にお店に行くその時までブランドを覚えていてもらう必要があります。
広告でインパクトのある音楽やキャッチコピーを使うのは、この「記憶」に粘着させるための工夫なのです。
一方で、車や不動産、あるいは企業の業務システムのような高額商品の場合はどうでしょう?
「欲しい!」という感情だけで即座に契約書にハンコを押す人は多くないはずです。
そこで生まれたのが、欲求と行動の間に「確信(Conviction)」を挟み込んだ「AIDCA(アイドカ)」です。
ここではスペックの証明や費用対効果のデータを見せ、「この選択は論理的にも正しい」と納得させるプロセスが不可欠になります。
さらに、保険やITツールのような「仕組みが複雑な商品」には、認知のあとに「理解(Comprehension)」を重視する「ACCA(アッカ)」というモデルが使われます。
これは感情よりも「商品の仕組みやメリットを正しく理解させる」ことに重きを置いた、啓蒙型の構成と言えます。
AISAS・AISCEAS

なるほど。でも、今はテレビよりスマホの時代だよね?

そこで登場するのが、日本の電通が提唱した「AISAS(アイサス)」だ。
これが現代のスタンダードと言ってもいい
AISASの最大の特徴は、興味を持ったあとに「検索(Search)」を行い、購入した後には「共有(Share)」するという点です。
消費者はGoogleで検索し、買った後はSNSで感想をつぶやく。
その投稿がまた誰かの「注意(Attention)」を引くという、循環ループが生まれるのが現代のマーケティングです。
検索された時に表示される記事を用意したり、シェアしたくなる仕掛けを作ったりする必要があるのです。
さらに、消費者がより慎重になった現代では、検索のあとに「比較(Comparison)」と「検討(Examination)」を挟む「AISCEAS(アイシーズ)」というモデルの重要性も増しました。
今は比較サイトやレビュー動画で、徹底的に競合と比べられる時代。
だからこそ、自ら他社との比較表を出したり、悪い口コミにも誠実に回答したりして、この「比較検討」の戦場で勝ち抜くコンテンツが必要になるのです。
AIDCAS・AICPBSAWN

最後は、売った『後』の話と、プロが使う『全部入り』のモデルを紹介しよう
売って終わりではなく、顧客との長い付き合いを重視するのが「AIDCAS(アイドカス)」です。
最後のSは「満足(Satisfaction)」を指します。
丁寧に使い方を教えたり、フォローメールを送ったりして満足度を高めれば、彼らはリピーターになり、やがて強力なファンになってくれる。LTV(顧客生涯価値)を最大化するためのモデルです。
そして最後に紹介するのが、ダイレクトレスポンスマーケティングの集大成、「AICPBSAWN(読み方なし)」。
これは長いセールスレターを書くためのチェックリストのようなもので、注意・興味・信頼・証明・利益・希少性・行動といった要素をすべて網羅しています。
特筆すべきは、最後に「警告(Warn)」と「今すぐ(Now)」が入っていることです。
「買わないとどうなるか」というリスクを突きつけ、「今すぐ動く理由」を与える強力なクロージング要素を含んでいます。

例えば、スーパーの日用品ならAIDMA、高額商品ならAIDCA、ネット販売ならAISAS、そしてガッツリ売るLPならAICPBSAWN。 『目の前のお客さんは今、どの階段にいて、次にどう動くのか?』 それを想像して、最適なモデルを選ぶことが大切ということだね



