
昭和や平成の時代は、ミリオンセラーのCD、視聴率30%のドラマ、誰もが知っているブランド服など、私たちは「みんなと同じもの」を欲しがる傾向が強かった。

シングルCDが何百万枚って売れた時代なんだよね

スマホやSNSの普及で、個人の趣味や嗜好はかつてないほどに多様化している。
そこで、重要性を再認識されているのがロングテールという概念だ。
ロングテールとは?
ロングテールとは、売上の大部分を占める少数の人気商品=ヘッドに対して、あまり売れない商品=テールでもたくさん集めることで、人気商品以上の売上を目指すことができる、とする考え方です。
かつて、本屋やCDショップなどの物理的な店舗では、棚のスペースに限りがあるため、テール商品は置けませんでした。ヘッド商品を中心に並べるしかなかったのです。
しかし、インターネットの普及でオンラインショッピングが発展し、棚の制限はなくなりました。
Amazonは、近所の本屋には絶対に置いていない専門書を網羅することで、ベストセラーしか置かない大型書店を凌駕しました。
これが、「チリも積もれば山となる」というロングテールの基本原理です。
かつてのロングテールは「Amazonが在庫を持てるようになった」という供給側の革命でした。
しかし現在は、「消費者の意識」がロングテール化しているといわれています。
特に、Z世代にとって、みんなが持っているマス商品は「量産型」として敬遠される傾向にあります。
彼らが求めているのは、「自分だけの『好き』を表現できるニッチなもの」。
そして、それをSNSで発信することが「アイデンティティ」や、ステータスにもなります。
さらに、かつてのニッチ商品は「検索しないと見つからない」あるいは「検索しても見つからない」ようなものでしたが、今は、TikTokやYouTubeの「アルゴリズム」が、ユーザーの好みを分析し、勝手にニッチな商品を連れてきてくれます。
AIが「あなたはこれが好きでしょう?」と、自分が知らないような国のマイナーな商品をリコメンドしてくれる。
これにより、以前なら埋もれていたニッチ商品が、特定の層にピンポイントで爆発的に売れる現象が起きています。
これを現代では「マイクロ・トレンド」と呼びます。
ロングテールの活用法
では、私たちはこの流れをどうビジネスに活かせばいいのでしょうか? 「とにかく商品を増やせばいい」というわけではありません。
戦略①:D2Cで「刺さる層」にだけ届ける
万人受けする商品は、もはや誰にも刺さりません。
「30代男性向け」ではなく、「サウナが好きで、週末はソロキャンプをする、ガジェット好きの30代男性」くらいまで絞り込む。
ターゲットを絞れば絞るほど、言い換えると、テールに行けば行くほど、熱狂的なファンがつきやすくなります。
小規模なD2C※ブランドが大手メーカーを脅かしているのは、この「テールの熱量」を掴んでいるからです。
※Direct to Consumer: 仲介業者を通さずに顧客と直接つながるビジネスモデル
戦略②:営業における「ロングテール提案」
BtoBの営業でも同じです。
「御社にはこれが売れ筋です」という提案は響きません。
「御社のこの特定の部署の、このニッチな課題には、実はこのマニアックな機能が劇的に効きます」 という提案ができるかどうかが鍵になります。
顧客の課題もまた、複雑化・個別化しているからです。
世界中の「そのニッチな商品を愛する少人数」と繋がれる現代において、ロングテールの尻尾は、もはや「残り物」ではありません。
そこは、競争相手のいないブルーオーシャンであり、濃いファンと繋がれる黄金の場所と言えます。



