マーケティングの世界で最も有名な図形かもしれません。
それが、「ファネル」です。

あの逆三角形の形をした図だよね

そう。ファネルとは、日本語で「漏斗(ろうと)/じょうご」のこと。
理科の実験や、醤油を瓶に移し替える時に使う器具だね。
ファネルとは?
マーケティングにおけるファネルは、お客様が商品を認知してから購入に至るまでのプロセスを指します。
- 上部(口が広い): 認知(たくさんの人が知っている)
- 中部(少し狭い): 興味・関心(少しの人が興味を持つ)
- 下部(口が狭い): 購入(ごく一部の人が買う)
自社商品のサービスや購入をゴールとして、上から注いだ水が、下に落ちるまでに少しずつ減っていく様子で例えているのです。
この概念の元祖は古く、1898年にE.セント・エルモ・ルイスが提唱した「AIDA(アイダ)モデル」だと言われています。 顧客心理は以下の4段階で進むという法則です。
- Attention(注意):あ、なんだこれ?
- Interest(関心):面白そうだな。
- Desire(欲求):欲しいかも!
- Action(行動):ポチる(購入)。
この階段を一歩登るごとに、脱落する人が出てきますから、図形は必然的に逆三角形(ファネル型)になるのです。
ファネルの重要性
なぜこの図が重要なのでしょう。
それは「どこで水が漏れているか」、見込み客が購入につながらないボトルネック(つまり)が一発でわかるからです。
例えば、ファネルを分析することで、認知している顧客は多いのに興味・関心を持っている顧客が少ない、ということが分かったとしましょう。その場合、商品の魅力が伝わっていない、つまり、広告の中身や方法が悪いのでは、という仮説が立てられます。
また、「興味」を持った顧客は多いのに、「購入」までに一気に顧客が減っていることが分かったとしましょう。
その場合、最後の一押しが弱いのかもしれません。価格について再度精査する、申し込みフォームを改善する、などの施策を検討することができます。
このように、ファネルを描くことで、「なんとなく売れない」という悩みから卒業し、「ここの穴を塞げば売れる!」という具体的な戦略が立てられるようになる、ということです。
ファネルの限界
マーケティングの基本的概念として非常に重要なファネルですが、これまでのファネルには決定的な弱点が存在します。
それは、ファネルの一番下でプロセスが完了するということです。
言い換えると「購入がゴール」になっているので、いわば「売れたらさようなら」という構造になっているのです。
しかし、サブスクリプションやSNSが普及した現代において、購入はゴールではなく「スタート」です。
そこで注目されているのが、AmazonやHubSpotなどが提唱する「フライホイール(弾み車)」という考え方です。(弾み車とは、レコードプレーヤーやオルゴールなど回転軸を持つ機械に取り付けられた重い車輪のことで、回転速度のムラをなくし、滑らかで安定した回転を実現する機械部品のことです。)
出典:マーケティングファネルとは?基礎知識や活用方法をわかりやすく解説
一直線に落ちていくファネルではなく、顧客を中心にぐるぐると回り続ける円形のモデルです。
- Attract(惹きつける)
- Engage(信頼関係を築く)
- Delight(満足・感動させる) ↓
- 推奨(口コミで新規客を呼ぶ!)
購入して満足した顧客が、友人を紹介してくれることで、また新たな回転を生むモデルを目指すべきだという考え方です。
例えば、 他の記事でご紹介した「アドボカシーマーケティング」も、まさにこの回転を加速させるための燃料といえるでしょう。
要は使い分け
もちろん、ファネルが役に立たなくなったわけではありません。
「どこで客が離脱しているか」を分析するためには、今でもファネルは強力なツールです。
しかし、持続可能なビジネスの全体像を描く設計図としては、循環型のフライホイールも取り入れるべきでしょう。
「どうやって絞り込むか(ファネル)」ではなく、「どうやって勢いよく回し続けるか(フライホイール)」。
この視点の転換が、ビジネスの成長速度を劇的に変えるはずです。



