
今日は、ブロックチェーン・トリレンマについて解説する。

鳥メンマ?

ブロックチェーン・トリレンマ。
聞きなれない言葉かもしれないけど、これは暗号資産の基礎をなす技術であるブロックチェーンについての言葉だよ。
マーケティングとは直接的な関係はありませんが、ビジネスにおいて暗号資産の重要性は日々増しており、これに関連する知識も避けて通れなくなってきているので、ご紹介します。
ブロックチェーン・トリレンマとは、以下の3つの要素を「同時に」最大化することはできない、という板挟みのことを指します。(モノ、ジ、トリという、ギリシャ語の数字を表す接頭辞は皆さん化学の授業でご存じですよね?2者間の板挟みはジレンマ、3者間がトリレンマということです)
Decentralization(分散性): 特定の管理者がおらず、権力が分散されていること。
Security(セキュリティ): ハッキングや改ざんに対する耐性。
Scalability(スケーラビリティ): 処理速度や拡張性(たくさんの取引を安く、速く処理できるか)。
ちょっと難しいですよね。
これは、まず、ブロックチェーンという技術を利用した暗号資産が目指すところを知ることで、理解しやすくなります。
ブロックチェーン・トリレンマとは?
暗号資産は、銀行のような管理者がいない世界で、デジタル通貨を成立させることを目的としています。
管理者がいないということは、皆で監視しあう必要があります。
ここに求められるのが分散性です。
誰がいくら持っていて、どのような取引に使われているか、といった通貨に関する情報を皆で分散して管理する必要がある、ということです。
さらに、大事な資産なので、もちろんセキュリティが重要です。
簡単に、誰かに盗まれたり、書き換えられたりできるのであれば、通貨として信用も何もありません。
また、世界中の人が使える規模で成り立つものでなければなりません(スケーラビリティといいます)。どこか特定のコミュニティでしか使えないお金だと不便ですよね。
このように、暗号資産を通貨として使おうと思ったら、
・分散性
・安全性
・スケーラビリティ
の3つの要素が不可欠なわけです。
ところが、天才プログラマー、ヴィタリック・ブテリン(イーサリアム創設者)は、この3つの要素を完璧に満たすことは不可能である、と指摘したのです。
3すくみの綱引き
まず、分散性を高めると、スケーラビリティに影響が出るのはイメージしやすいと思います。
また、一か所での管理に比べ、全員で監視している分散性の高い状態は、セキュリティが上がりやすいことも理解しやすいですよね。
その半面、分散性を高めると、多数間で情報の処理をやり取りする必要があるため、規模を上げるほどその処理が膨大になり、そのスピードは下がります。
つまり、分散性を上げると、セキュリティは上げやすい一方で、スケーラビリティを犠牲にしなければならないということです。
その逆も同様です。
スケーラビリティを上げるためには、中央集権的に、トップダウンで計算や答えをはじき出せる構造を作る必要があります。
つまり、分散性とスケーラビリティはトレードオフの関係にあるのです。
セキュリティの視点からも見てみましょう。
暗号資産において「分散性」はセキュリティを高めるための鍵です。
特定の管理者がいる「金庫」は、そこが破られたり、管理者が裏切ったりすれば終わりです。
しかし、全員で監視し合う分散型なら、一部が攻撃されてもシステムは守られます。
でも、このセキュリティとスケーラビリティもトレードオフの関係にあります。
スケーラビリティを上げようとすると、分散性を減らさざるを得ず、その結果、少数の権力者による不正や攻撃が容易になり、セキュリティが下がってしまうのです。
このように、あちらを立てればこちらが立たず、という三者間の複雑な関係をトリレンマと表現したのです。

わ、分かったような、分からないような。。。

「現在の技術では、完璧なブロックチェーンを作ることはできない」といったん理解しておこう。
具体例
具体的な例で見るとわかりやすいでしょう。
例えば、有名なビットコイン(BTC)。
極めて高い「分散性」と「セキュリティ」を持っていますが、その代償として「スケーラビリティ」は低く、決済に時間がかかります。
一方で、クレジットカードやPayPayは、 爆速で決済できます。
スケーラビリティが高いということですね。
でも、それはVisa社などの巨大企業が中央集権的に管理しているからであり、「分散性」はありません。
新たな試み
最近では、このトリレンマを解決しようと、「レイヤー2」や「シャーディング」といった新技術が生まれています。
これは、ブロックチェーン上でですべてを決定するのではなく、細かい話は分科会のような別の決定レイヤーでやって、結果だけ報告しる、という仕組みにすることで、分散性を保ったまま速度を上げようとする試みです。
参考文献・出典



