KPIはビジネスの世界で最も使われる言葉の一つですが、会社員の方の中には、あまり聞きたくない言葉と思われている方も少なくないかもしれません。
KPIは、Key Performance Indicatorの略です。日本語に訳すと重要業績評価指標。
この名前からもわかる通り、目標達成を管理するための指標です。
目指すべき目標が曖昧で感覚的なものでは、その評価や改善も「なんとなく」といった主観的なものになってしまいがちです。
「一人でも多くのお客様を笑顔にします!」とか「会社の成長に貢献します!」といった目標では、具体的に何をやればいいか明確ではありませんし、上司や会社もそれが達成できたかどうかを判断することは困難です。
計画や目標に客観的な「数字」という共通言語を与え、達成状況を客観的に把握するためにKPIが有効なのです。
ビジネスのPDCAサイクルを効果的に回すためのマネジメントツールとしても機能します。
時に、上司や先輩が、部下の業績を厳しくチェックする際に、持ち出されがちな指標。
冒頭であまり聞きたくない方もいるかも、と書いたのはそのためです。
KGIとセットで考える
よく混同される「目標(KGI)」と「指標(KPI)」の関係を整理しましょう。
KGI(Key Goal Indicator)は、事業やプロジェクトが目指す最終的なゴールを指します。
これに対して、KPIゴールまでの通過点・目印となるような数値目標です。
例えば、1年後に月商5000万円を達成するというKGIを設定したとき、そこから逆算して「ウェブサイトの月間訪問者数を10万人にする」、「問い合わせ客の成約率を30%にする」、「解約率を3%以下にする」などの目標がKPIです。
KGIとKPIを適切に設定することによって、目標達成のための現状を客観的に分析することができ、改善すべき点を洗い出し、効果的にリソースを配分することができるようになります。

志望校合格がKGIだとすると、テストや模試の目標点数、月間の目標勉強時間などがKPIといえるね。

テストの話はやめて…
良いKPI、悪いKPI
ただし、何でもかんでもKPIにすればいいわけではありません。
ダメなKPIの代表例は「お客様に誠意をもって接する」といった、計測できないものです。
顧客満足度をKPIに設定したいなら、「商談後のアンケートで満足度4.0以上を取る」といった計測できて、対策も打てる内容にしましょう。
良いKPI設定には「SMARTの法則」を意識することが効果的です。
Specific / 具体的か?
Measurable / 計測可能か?
Achievable / 達成可能か?
Relevant / 最終的な目標(KGIやビジョン)と関連性はあるか?
Time-bound / 期限はあるか?
これらの頭文字をとったものです。

SMARTの観点でKPIを設定することは、ビジネスに限らずプライベートの目標達成にも応用できる優れものだよ。
KPIを設定する作業過程において、深く自問自答することそのもので、自分に足りないものが見えたり、本当の望みが見えてきたり、と副次的な効果もある。
なお、KPIを増やしすぎないこともポイントです。
管理しなければならない数字が増えるだけ管理者のリソースは分散しますし、管理される方も疲弊します。
KGIを達成するために、本当に必要なものに絞った効率的な管理にマネジメントや経営のスキルが現れるといっても過言ではないでしょう。



